OJTのやり方完全ガイド:効果的な人材育成のための計画立案から評価までの実践ステップ

 

企業における人材育成の要となるOJT(On the Job Training)。「やり方が分からない」「効果が出ない」とお悩みの担当者様も多いのではないでしょうか。本記事では、OJTの基本から実践的なやり方、よくある課題とその解決策まで、現場ですぐに活用できる情報を網羅的にご紹介します。

1. OJTとは?現場で実践する効果的な人材育成手法

OJT(On the Job Training)とは、実際の業務を通じて行う教育訓練のことです。通常の業務遂行の過程で、先輩社員や上司が後輩や部下に対して、必要な知識やスキル、態度を計画的・体系的に指導する方法です。

1-1. OJTと集合研修(Off-JT)の違い

OJTは実務の中で行われる研修であるのに対し、Off-JTは業務を離れた場所で行われる集合研修です。OJTは実践的なスキルの習得に向いている一方、Off-JTは体系的な知識の習得に適しています。効果的な人材育成のためには、両者を適切に組み合わせることが重要です。

1-2. OJTのメリット

OJTのメリットとして、以下が挙げられます。

OJTのメリット

  • 実務に直結したスキル習得ができる
  • 個人の成長ペースに合わせた指導が可能
  • コスト効率が良い
  • 現場の課題解決能力が身につく
  • 組織内のコミュニケーションが活性化する

2. OJTの基本的な流れ:計画から評価まで

効果的なOJTを実施するためには、適切なプロセスを踏むことが重要です。ここでは、OJTの基本的な流れを説明します。

STEP1:目標設定と計画立案

まず、育成対象者の現状を把握し、どのようなスキルや知識を身につけさせたいのかを明確にします。その上で、具体的な目標と達成までのスケジュールを設定します。目標は「SMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限がある)」の原則に則って設定することが効果的です。

STEP2:OJT担当者の選定と準備

育成対象者に最適な指導ができる担当者を選定します。単に業務に詳しいだけでなく、教える能力や熱意も重要な選定基準です。選定後は、担当者自身も指導方法や評価基準について理解を深めておく必要があります。

STEP3:実施とフィードバック

計画に基づいて実際のOJTを実施します。この際、「見せる」→「やらせてみる」→「振り返る」のサイクルを意識することが大切です。定期的なフィードバックを通じて、育成対象者の成長を促進します。

STEP4:評価と改善

設定した目標に対する達成度を評価します。評価結果は育成対象者と共有し、次のステップに向けた改善点を明確にします。また、OJTプログラム自体の効果も検証し、必要に応じて改善を行います。

3. OJTでよくある課題とその解決策

多くの企業がOJTを実施していますが、OJTがうまく機能しないケースも多々あります。ここでは、OJTを実施する際のよくある課題とその解決策をご紹介します。

3-1. 時間不足の問題

業務の忙しさからOJTに十分な時間を割けないという課題は多くの企業で見られます。

解決策

  • OJT専用の時間枠を設ける
  • 短時間でも効率的に指導できるミニレッスン形式を取り入れる
  • 業務の一部を他のメンバーに分散させる工夫をする

3-2. 指導スキルの不足

技術や知識は豊富でも、それを効果的に教えるスキルを持っていない担当者が多いという問題があります。

解決策

  • 指導者向けの研修を実施する
  • 指導マニュアルや教材を整備する
  • ティーチング経験者によるサポート体制を構築する

3-3. 評価基準の曖昧さ

何をもって成功とするのか、評価基準が明確でないために効果測定ができないケースがあります。

解決策

  • 具体的で測定可能な目標設定を行う
  • 段階的な成長指標を設定する
  • 定期的な評価面談を実施する

4. OJT計画書の作成方法と記載例

効果的なOJTを実施するためには、適切な計画書の作成が不可欠です。ここでは、OJT計画書の基本要素と具体的な記載例を紹介します。

4-1. OJT計画書に含めるべき基本要素

OJT計画書に決まった形はありませんが、以下の要素を含めることでOJT計画書の作成が行いやすくなります。

OJT計画書に含めるべき基本要素
  • 育成対象者の情報(氏名、部署、現在のスキルレベルなど)
  • 育成目標(短期・中期・長期)
  • 習得すべきスキルや知識のリスト
  • 具体的なアクションプランとスケジュール
  • 評価方法と基準
  • OJT担当者の情報

4-2. OJT計画書の記載例

上記の基本要素を含めたOJT計画書の記載例は以下の通りです。

5. OJTを成功させるためのポイント

OJTの効果を最大化するためには、組織全体と担当者それぞれが意識すべきポイントがあります。ここでは意識すべきポイントを順にご紹介します。

5-1. 組織編:効果的なOJTを支える環境づくり

組織全体でOJTを成功させるためには、適切な環境や仕組みの構築が重要です。

経営層のコミットメント

OJTを単なる現場レベルの取り組みではなく、組織全体の人材育成戦略として位置づけることが重要です。経営層が明確なメッセージを発信し、必要なリソースを確保することで、全社的な取り組みとして定着させましょう。

評価・報酬制度との連動

OJT担当者の貢献を適切に評価し、報酬や昇進に反映させる仕組みを整えることで、モチベーション維持につながります。また、育成対象者の成長も公正に評価することが大切です。

育成文化の醸成

「教え合い、学び合う」文化を組織全体に根付かせることで、OJTの効果が高まります。定期的な成功事例の共有や、育成に関するナレッジ交換の場を設けることが有効です。

5-2. OJT担当者編:効果的な指導のためのスキルアップ

OJTの成功は、担当者の指導力に大きく左右されます。ここでは、効果的な指導のためのポイントを紹介します。

コミュニケーション力の強化

一方的な指導ではなく、対話を通じた相互理解を心がけましょう。育成対象者の理解度や感情を常に確認し、適切なフィードバックを行うことが重要です。

教える技術の習得

「見せる」「説明する」「やらせてみる」「振り返る」という基本的な流れを意識した指導を行いましょう。また、育成対象者の学習スタイルに合わせた教え方を工夫することも効果的です。

自己成長の継続

OJT担当者自身も常に学び続ける姿勢を持つことが大切です。最新の業界動向や教育手法について学び、自らのスキルを磨き続けることで、より質の高い指導が可能になります。

6. まとめ:効果的なOJTで組織力を高める

OJTは単なる技術伝承の手段ではなく、組織全体の競争力を高めるための重要な施策です。本記事でご紹介した基本的な流れや課題解決のポイント、計画書の作成例などを参考に、貴社の状況に合ったOJTの仕組みを構築してください。

継続的な改善を重ねることで、より効果的な人材育成システムが確立され、組織全体の成長につながるでしょう。

6-1. 研修プログラム選びでお悩みの方へ:Skill Studioのご紹介

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