近年、ダイバーシティ経営が推進される中で「アンコンシャス・バイアス」という言葉が注目されています。本記事では、「アンコンシ方法ス・バイアスとは何か」から、その背景、企業にもたらすメリット、アンコンシャス・バイアスの軽減のステップまで解説します。
1. アンコンシャス・バイアスとは
アンコンシャス・バイアスとは、無意識のうちに形成される偏見や思い込みのことです。これらは私たちの日々の経験や文化、社会の影響、人の情報処理の性質から自然に形作られるものです。しかし、この無意識のうちに形成された偏見が私たちの感情や意思決定に影響を与えることが問題視されています。
1-1.代表的なアンコンシャス・バイアスの種類
アンコンシャス・バイアスは200種類以上あると言われています。以下に代表的なアンコンシャス・バイアスを記載します。
▼確証バイアス:
自分の信念や意見を支持する情報だけを重視し、反対の情報や証拠を無視する傾向を指します。これにより、偏った判断が強化されることがあります。
▼ステレオタイプ:
特定の集団に対して固定観念を持つことを指します。ステレオタイプは、多様性を無視して一様なイメージを持つため、差別や偏見に繋がる可能性があります。
▼ハロー効果:
対象を評価する際に、その対象の目立つ特徴に引っ張られ、他の特徴についての評価が歪められてしまうことを指します。特定の良い特徴が他の評価を高める「ポジティブ・ハロー効果」、特定の悪い情報が他の特徴の評価を低下させる「ネガティブ・ハロー効果」があります。
1-2. 職場や日常で見られるアンコンシャス・バイアスの例
以下は、職場や日常で見られるアンコンシャス・バイアスの一例です。
・性別による役割期待
「女性は管理職に向かない」という思い込み。
・外見による判断
見た目や服装でその人の能力を無意識に評価してしまう。
・過去の経験に基づく偏見
ある年齢層の人が特定のスキルに向いていないと考える。
2. アンコンシャス・バイアスが注目される背景
アンコンシャス・バイアスが注目される背景には、ダイバーシティ経営推進の影響が挙げられます。多様性や包摂性(インクルージョン)が社会や企業で求められる中、アンコンシャス・バイアスがその実現を妨げる障壁となっています。また、グローバル化が進む現代では、異文化や異なるバックグラウンドを持つ人々と協働する機会が増え、その中で公平な意思決定が求められるため、アンコンシャス・バイアスについての知識や認識をもち、それに伴う行動の実行が必要です。
3. アンコンシャス・バイアスを認識することによる企業メリット
企業がアンコンシャス・バイアスに向き合い、対策を取ることで以下のメリットが得られます。
- 多様性の促進
偏見が軽減されることで、多様な人材が活躍できる環境が整います。 - 公正な評価
無意識の偏見を排除することで、能力に基づいた公平な人事が可能になります。 - イノベーションの促進
多様な視点が取り入れられることで、新たな発想が生まれます。 - ハラスメントの抑制
自分の行動が他者に与える影響を理解するため、無意識に行っている差別的な言動を抑制することができます。
4. アンコンシャス・バイアスを軽減させるためのステップ
組織としてアンコンシャス・バイアスを軽減させるためにはステップを理解することが重要です。ここでは経済産業省の「令和4年度産業経済研究委託事業(ダイバーシティ経営推進に向けたアンコンシャス・バイアス研修のあり方と効果測定指標等に関する調査)」にて紹介されているアンコンシャス・バイアスを軽減させるためのステップをご紹介します。具体的なステップは以下の通りです。
1. アンコンシャス・バイアスについて知る(知識を得る)
まずはアンコンシャス・バイアスについて知ることが大切です。職場で起きる身近なアンコンシャス・バイアスを事例で学べるようにすることなどで知識を深めていきます。
2. 自分のアンコンシャス・バイアスに気づく
自分自身のアンコンシャス・バイアスに気づくために、体験などを通じて、他者の視点に立つ機会を設けます。また少人数にで話し合う機会をつくる、異なる様々なタイプの人たちと交流する場をつくることも効果的です。
3. 行動を変える方法に気づく
実際に行動を変えるための方法を探します。
職場のアンコンシャス・バイアスを軽減することを具体的に考えたり、アンコンシャス・バイアスの対応のベストプラクティスを共有することで行動を変える方法に気づくことができます。
4. 行動を変えていく
学んだことを日常や職場で実践し、少しずつ行動を変えていきます。
アンコンシャス・バイアスを軽減するためには以上のようなステップを認識して実行することが大切です。また、アンコンシャス・バイアスは単に自分の状態を自覚するだけでは軽減できないため、全社的に戦略を設定・実行していくことが重要となります。
参考:経済産業省_「令和4年度産業経済研究委託事業(ダイバーシティ経営推進に向けたアンコンシャス・バイアス研修のあり方と効果測定指標等に関する調査)」https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/R4_diversity_bias.pdf
7. さいごに
ここまでお読み頂きありがとうございました。
アンコンシャス・バイアスを克服することは簡単ではありません。しかし、その存在を認識し、小さな行動の積み重ねを通じて変革を進めることが、より公平で多様性に富んだ組織を築く鍵となります。
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